ノンフィクションDX事例

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県のDX支援事業がきっかけ。4期にわたりDX化をノンフィクションに依頼し続ける理由

 
鳥取県東部・中部をエリアでインターネットサービスやケーブルテレビ(CATV)放送サービスを提供している、日本海ケーブルネットワーク株式会社のお客様課では、担当者のみ把握している業務が多く「業務の属人化」が問題となっていました。

そのような中、鳥取県によるDX伴走支援事業をきっかけとして、業務の可視化とマニュアル化をノンフィクションと共に行うこととなります。

当初は3カ月ほどのプロジェクトを予定していましたが、ノンフィクションの成果が評価され、社内のさまざまな部分でDX化を行うべく継続に。現在、そのDX化プロジェクトは「Round」と呼ばれる6ヵ月ごとのプロジェクトを繰り返し、現在ではRound4に突入しています(2023年8月時点)。

プロジェクトの成功だけでなく、継続してノンフィクションへ依頼するに至った理由をCS推進部 部長 太田様、お客様課 西澤様にお伺いしました。

取材日:2023年8月29日

会社プロフィール

日本海ケーブルネットワーク株式会社
業種:情報通信業
本社:鳥取県鳥取市
社員数:74名
課題:顧客管理・対応を行う部署での、業務の属人化

ベテランしかわからない、新人に業務が偏る…「業務の属人化」という課題

CS推進部 部長 太田様、お客様サービス課 西澤様 CS推進部 部長 太田様、お客様サービス課 西澤様

 
——会社の事業や担当されている部署、業務について教えてください。

太田 弊社は、鳥取県でサービスを提供するケーブルテレビ会社です。CS推進部では、顧客管理やカスタマー対応の電話や訪問サポートを行っています。

西澤 その中で私が所属するCS推進部お客様課は、コールセンター業務や契約業務に付随する処理や伝票入力のほか、DX推進や運用整備などのバックオフィス業務全般を担っています。

——現場では、どのようなことが問題となっていたのでしょうか?

太田 長く在籍している人しかわからない業務もあれば、次々と登場する新サービスについては若手しかわからない、「業務の属人化」が問題となっていました。その一方で、業務一覧などはなく、誰がどういう仕事をしているのか、全体像がわからない状態でもありました。

そういった背景の中で、問合せ業務の一部が若手に偏ってしまい、「業務の標準化ができないか?」と考えていたのです。

ちょうどそのタイミングで、鳥取県が令和3年度のDX伴走支援事業の募集を開始していました。この事業は、県が予算を出して、企業のDX化の取り組みに対して専門アドバイザーを併走させるというものです。

——鳥取県のDX伴走支援事業に応募されたのち、どのような経緯でノンフィクションと出会ったのでしょうか?

太田 株式会社ビザスクさんという専門家と企業をマッチングさせる企業が、何名かのアドバイザーを提案してくださいました。その方々と面談を行い、「私たちが実施したい内容を実現できるかどうか?」「方向性とマッチしているかどうか?」と、荒谷さんの人柄からノンフィクションさんに決めました。

なお、ビザスクさんから紹介いただいたアドバイザーさんは東京の方ばかりでしたが、ちょうどコロナ禍のタイミングでもありリモートワークも行っていたので、遠方であることに対しての不安はありませんでした。

「これが作業の可視化という作業なのか!」社員ヒアリングですべての業務が浮き彫りに

Round1と呼ばれる3月末までの取り組み内容

 
——DX化のプロジェクトメンバーは何名で、いつから取りかかったのでしょうか?

太田 私がプロジェクトオーナーとなり、補佐1名、お客様課の西澤、システム担当1名の計4人です。

西澤 2021年12月中旬に、鳥取県、ビザスクさん、ノンフィクションさんでキックオフ会議を行いました。実際に取りかかったのは2022年の1月で、プロジェクト終了は3月末日まで。年度末までという決まりがあったため、およそ3カ月のプロジェクトでした。

——最初にどのようなことから取りかかったのでしょうか?

西澤 「どのような業務が行われているのか」をまとめたリストがなかったため、まずは業務の洗い出しを行いました。主要な業務を箇条書き程度でまとめたものはあったのですが、細かい業務はわからない状況だったので、業務をジャンルごとに分けたり階層を作ったりして、わかりやすく整える作業を行いました。

この方法は、荒谷さんから教わったものです。インタビュー方法もレクチャーしていただき、部署のメンバーに話を聞いて回りました。一つひとつの業務量や発生タイミング、どのようなアウトプットがあるのか……などを洗いざらい調べたのです。

これだけでも2カ月ほどかかりましたが、「これが可視化という作業なのか!」と自分自身にとっても勉強になりました。その後は、そこからマニュアル化する業務を選定し、230の業務をピックアップすることとなりました。

業務一覧表のイメージ

 
——230業務とは膨大な量ですね。

太田 毎日、行わなければならない業務もあれば、半月や1カ月に1回という業務もあります。頻度も異なるので、分類するのは大変な作業でした。荒谷さんには、1月に鳥取まで来社いただき、社員へのヒアリングの見本を見せていただきました。

西澤 自分なら簡単な質問で済ませてしまいそうなところを、荒谷さんは事細かく深いところまで突っ込んで質問するため、とても勉強になりました。ヒアリングを通して「こんな仕事をしていたんだ」と驚くこともありましたし、一覧を作成する中で作業について学ぶこともできました。同じ課内でも、知らないことが多かったですね。

太田 私が管轄していたのは営業課とお客様課の2つですが、営業に軸足があったため、お客様課についてはざっくりとしか把握できていませんでした。このリストを作成することで、「どういう作業を行っていたか」を初めて知ることに繋がりました。

スキルがなくても使えるツールを。わずか3カ月で導入達成

——プロジェクトの中で、課員の方に対してアンケートも実施されたそうですね。それはどのような目的で行われたのでしょうか?

西澤 マニュアル作りに先立ち、課員に対して業務意識やマニュアル作成に対する意欲、今担当している業務の振り分けや見直しなどについてのアンケートを実施しました。このアンケートも、荒谷さんにレクチャーいただいた内容をもとに作成したものです。

アンケートによって、これまで見えてこなかった課員の気持ちや考えを確認できたので、実施できて良かったと感じています。

太田 効率化に対しては「取り組みたい」という回答が多くありましたが、マニュアル作成という新しい業務に対しては意見自体が少なかったですね。「課員の意識」が懸念材料になることが、わかりました。それまで決まった業務を行ってきたので、増やされたり減らされたりすることに対して不安があったようです。

加えて、マニュアル作成をすることで、これまで個々が抱えていた業務が「誰でもできるようになる」ことに対しても、「仕事を囲いこみたい」という気持ちがある人にとっては、不安材料になったと考えられます。

西澤 そうした不安を取り除くため、業務を増やしたり減らしたりするためではなく、「改善を行うためなのだ」ということを伝えて、取り組むようにしました。

——ノンフィクションからは、どのようなツールが提案されたのでしょうか。

西澤 実は、ノンフィクションさんと取り組む前から、マニュアル化は必要だと感じて、自己流でツール探しを行っていました。でも、詳しくないため「どれがいいのかわからず……」といった状態でした。実際にツール選定の段階では、私が見ていたものも含めて、弊社にあったツールを4つ選定していただきました。まずはトライアルで使用感を確かめて、決めていきました。

ツール比較のイメージ

 
太田 年齢が高い課員も多いため、荒谷さんには「なるべくPCスキルがなくても使えるものを紹介して欲しい」とリクエストしましたね。

西澤 お客様対応のためのカスタマー業務マニュアルやバックオフィスの定型業務マニュアルなど、作りたいマニュアルは多岐にわたっていました。荒谷さんからは「まずは定型業務のマニュアル作りから取りかかるように」とアドバイスをいただきました。

また、マニュアルを作る際は、実際に業務を行っている課員全員で一斉に作っていこう、という話に。このとき、マニュアル作成経験者が皆無という状態でしたので、「誰でも簡単に使えること」が重要なポイントとなってきました。荒谷さんからのアドバイスは「誰でも見やすいフォーマットであること」「不慣れな人でも使いやすいこと」を考慮すること。

実際に4つの製品を使ってみると、機能的には「一長一短」でしたが、その中で圧倒的に使いやすいものがあったので、それに決めました。3月時点で導入するツールが決まり、「Round.1」と呼んでいる最初の取り組みが終了となりました。

太田 「Round.1」が終わった段階で、せっかく導入したのだから定着化を図っていこうと、コンサルティングを継続していただくことに決めました。そして、「全業務のマニュアル化」を目的に、半年という期間を設定して「Round.2」に入っていきます。

「Round.1」スタートから1年足らずで230業務のマニュアル化を達成

——鳥取県からの補助金がない状態で、再びノンフィクションと契約し、「Round.2」へと移行しようと思った理由をお聞かせください。

太田 やはり「Round.1」での満足度です。継続してマニュアル化に取り組む中で、プロジェクトチーム内でも、引き続き荒谷さんからアドバイスをいただきたいという要望がありました。

西澤 しっかりと計画を立てて進捗確認を行う、結果に対してアドバイスをするなど、きちんと管理していただきました。荒谷さんは知識や情報量も豊富で、困っているときも相談に乗っていただき、ツール以外の部分でもいろいろなご提案やアドバイスをいただけて助かったからです。

太田 それに何でも聞きやすく、一見関係ないようなお話でも参考になりました。最終的に、人柄という部分は大きな決め手でしたね。

西澤 実際、私たちだけでは、通常業務を行う中で「みんなで作ってください」とお願いをして、予定を立てていくことは難しかったと思います。心強い存在でした。

——業務の可視化やマニュアル化を通して、職場の中で変化はあったでしょうか?

西澤 例えば、新入社員に仕事を引き継ぐときは口頭で伝えるだけだったため、1つの業務を理解してもらいながら処理を覚えてもらい……、と時間がかかっていました。それが、マニュアルによってお客様課がどういう仕事をしているかが可視化されたので、新入社員は必要なときに都度、閲覧して把握できるように。以前より、新しい業務もスムーズに担当してもらえるようになったと感じています。

——現在は「Round.4」までプロジェクトが進んでいると聞いています。今後、ノンフィクションに相談したいと思っている企業様へメッセージをお願いします。

太田 荒谷さんには、まだまだ弊社と併走していてほしいですね。最初は限定的なDX化だけでしたが、Roundを重ねることに、他部署を含め会社全体でノンフィクションさんを頼りにするようになりました。

DX化というとハードルが高いように感じるかも知れませんが、荒谷さんは相談すればわかりやすく答えてくれる気軽さがあります。中小企業が自社でDX化を進めるのは容易ではありませんから、相談できる会社があることで、スムーズに進めることができると思いますね。

西澤 私は当初、1人でマニュアルを作ろうとしていましたが、個人が通常業務を行いながら行うことはとても難しいと感じました。こういったコンサルタントの方に入っていただくことで、部署全体で取り組むことができて、とてもよかったと思います。

太田 DX化に取り組んだことで、1年もたたずに230業務のマニュアル化が達成できました。困っていることがあれば、相談してみることをおすすめします。

 

【ノンフィクション担当の声】

正しく現状把握をした上で改善し続ける、本当のDXに取り組めました(荒谷)

ノンフィクション代表の荒谷が自ら担当した

 
DXというと、トップダウンで「DXだ!」と言われたりベンダーの営業さんから「このツールを入れればDXになる」と勧められたりして、「仕方なく行うもの」というイメージがあるかもしれません。でも、それは本当のDXとは異なります。
DXは「デジタルツールを導入すること」ではなく、デジタルツールを活用して「業務改善を図ること」。しっかりと現状把握した上で、絶えず改善し続けることこそが本当のDXです。
日本海ケーブルネットワーク様は、この現状把握の部分を自らきちんとされた事例だと感じております。加えて、私たちのようなプロにお願いするだけでなく、自分たちで業務支援をまとめるなど、現場もマネジメントも常に問題意識を持って取り組まれていたことも成功の大きな要因でした。
まだRoundは続きますが、引き続き、寄り添いながら一緒にすすめていくことができればと考えております。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 

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